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広大はレグバを恐れていた。
無垢な魂は邪悪な存在を見抜き、不安に苛まされていた。
朝英は、心配することはないとなだめ、無言のうちにも相手の名前を知り、会話をしていたのだった。
やがて広大の機嫌は直り、にこにこと笑うようになった。モノレールは浜松町に着いた。
「ではここで」
「おー。じゃ広大、ぐぶりーさびら」
いつまでも手を離さない赤ん坊に向って、朝英はさようなら、と言った。
広大は、ひと時の邂逅を惜しむように手を離した。広大の心はすっかり穏やかになっていた。
「なー。うんじゅもくちさんだろうが、なちかさんだろうが、大丈夫、ちをしっかりもって待ちなさい。うだんなは必ず帰るよ」
朝英は広大に向って手を振りながら、母親にも笑顔を向け、はっきりと告げた。
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