121人が本棚に入れています
本棚に追加
夫と組んでいた腕をさりげなく外す。
それを見咎めて青年が何か言った。二人はしばらく言い争っていたが、彼女は花束を奪い取ると、それで青年を殴った。何度も何度も。
夫は呆然と見ているだけだったが、自分は関係ないという立場をとることに決めたらしく、少しずつ後ずさった。
だが青年は夫を見逃さなかった。
彼は彼女に怒りを向けず、夫に殴りかかった。
中年男は青年には敵わない。夫は両腕を上げてしきりに話し合おう、と言っていたようだが、ついに青年に殴り倒されてしまった。顔にアザができたかもしれない。
何てこと、何なの。彼女の頭の中は、今見た情景を消化しきれないでいた。
その混乱が子どもにも伝わったのかもしれない。広大は怯えたように泣き出した。
最初のコメントを投稿しよう!