東京モノレール

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夫と組んでいた腕をさりげなく外す。 それを見咎めて青年が何か言った。二人はしばらく言い争っていたが、彼女は花束を奪い取ると、それで青年を殴った。何度も何度も。 夫は呆然と見ているだけだったが、自分は関係ないという立場をとることに決めたらしく、少しずつ後ずさった。 だが青年は夫を見逃さなかった。 彼は彼女に怒りを向けず、夫に殴りかかった。 中年男は青年には敵わない。夫は両腕を上げてしきりに話し合おう、と言っていたようだが、ついに青年に殴り倒されてしまった。顔にアザができたかもしれない。   何てこと、何なの。彼女の頭の中は、今見た情景を消化しきれないでいた。 その混乱が子どもにも伝わったのかもしれない。広大は怯えたように泣き出した。
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