モンゴル フルンボイル草原

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少年は夢見るように虚空を見上げた。 草原に囲まれ刺激の少ない毎日を過ごしている人々にとって、遠い町の話はなによりのご馳走だ。 少年は異国に行きたいとは望まず、かの人との邂逅を夢見ていた。 「君は、そのウチナーへ行ってみたいとは思わないのか?」 「とんでもない。僕はこの国で、この国の曲を演奏し続けたいと思っています」 「何故」   ネルグイは、そんな知らない所へ行くのは怖いです、と笑った。 「そのウチナーという島に、七つの魂を持つ人たちが暮らしているそうですよ」 「そうか。それは貴重な情報をありがとう」   レグバは手袋をしたまま、少年の黒髪を撫ぜた。 おそらく伝承というか、言い伝えに過ぎないのだろう、と思いながら。 髪はさらさらとレグバの指から零れ落ちた。
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