あなたを教えて

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店に着いて駐車場に入るとなかなか満車に近いくらい車が止まっていて、いつもと同じように混んでるんだと予想できた。 「混んでるねー」 「まぁ、いつもの事だろ。待てるか?」 「待てるわよ。私が行きたいって言ったようなもんだし」 車から降りた二人の腕は無意識に繋がれていた。 最近自分でも驚くくらい上総とこうすることに慣れてきた。 前は人前で手を繋ぐのさえ恥ずかしかったのに、今では自然に惹きつけられるように腕を組むようになるほど。 きっと二人は順調なはず。 少なくとも私はそう思ってる。 店内に入るといつもと同じ風景が広がっていた。 オレンジ色の光と、料理の匂い。 隣に上総。 「2名様でよろしいでしょうか?」 「はい。あ、あの...」 上総がウエイターにこっそりと耳打ちすると、あぁと納得したかのようにメニューを持ち、私たちを席に案内する。 混んでいるのになんですぐに案内してもらえたのは良く分からないけど。 それにこんな窓際のテーブルなんて。 気になって横の上総を見上げても知らんぷりで。 ちょんっと突っついてみても何もないような顔で案内についていくだけ。 なんか隠してるみたい? さっきの耳打ちはなんだったんだろう? 「ねぇ、上総!なんか隠してるでしょ?」 「別に?」 その顔知ってるんだから。 何かイタズラをするときに浮かべるニヤリと意地悪な笑み。 教えるつもりなんてないんでしょ。 私も学習したから、無理に上総に歯向かったりはしない。 やったら何倍返しでどんなイタズラで返されるか。 とても人には言えないような...ね。
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