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午後の勤務は本当に最悪だった。
違うドクターと回るはずだったのに、そのドクターが急に体調を崩して早退。
その代わりに来たのがまさかの上総だった。
もちろん私も上総も公私混同はしない。
しないわよ。
ちゃんと回診はしてきた。
だけど、
目が合うたびに不自然に逸らされ、その度に胸がチクリと痛んだ。
もう目さえ合わせてくれない。
二人の関係はそこまで来てしまったのだ。
そう簡単には修復できない溝がどんどん広がっていく。
原因を作ったのは私だから。
でも何もできないのも私。
誰にも届かないため息が溢れた。
「あぁ…急がないと」
手早くメイク直して、メイクポーチを鞄の中に突っ込んだ。
髪は解いて流したまんま。
デートとかじゃないし、と適当に自分に言い訳して更衣室を出た。
職員玄関に着くともう麻里亜さんが待っていた。
「すみません、お待たせいたしました!」
「大丈夫よー。私も今来たところだから」
私の到着を待っていてくれた麻里亜さんは、にっこり微笑んで歩き始めた。
それに合わせて私も続く。
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