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「し、し、下着って!」
「別にいいでしょう?あ、もちろん明子ちゃんのも選ぶからね」
有無も言わせず麻里亜さんは私の手を半ば強引に引っ張ってお店の中に入っていく。
こんな細い体のどこにこんな力があるのか教えて欲しいくらい。
麻里亜さんって時々びっくりするくらい行動力があるというか、強引というか。
流石あの男二人とつるんできただけある。
妙に納得できた。
そして、
連れてこられたのはいつも私が買うような安いやつじゃなくて、見るからに高そうなコーナー。
「明子ちゃんは何色が好き?」
「パステルカラーならなんでも好きですけど…。ムリですよ、こんな布面積が少ないやつとか。これなんて明らかに紐じゃないですか!」
目の前にあるのはいかにもって感じのモノばかり。
こないだ上総が持っていた雑誌の中の女の子達が身につけていたようなやつなんて見たくなかったのに。
ムッとした顔の私とは違って、麻里亜さんはニヤニヤしてる。
「下着見たくらいでそんなにヤキモチ妬いちゃうなんて、ほんと上総のこと好きよね。」
「ヤキモチ…?」
「だってそうでしょ!上総が他の女なんかに現を抜かしたりするから、カワイイ明子ちゃんが辛い想いするなんて…。一回懲らしめないとね、アイツ」
殴った方がいいかしら、と呟いてるのが本気で怖い。
ヤキモチなんて。
確かに悲しいし、自分じゃ満足させてあげられないって思ってはいたけどそれがヤキモチだった。
自分では気付けなかった。
そう思うとなんだか恥ずかしい。
ただの痴話喧嘩に麻里亜さん巻き込んでしまった。
「それに、いかにも勝負してます!なんていうのはいらないでしょ。今日の本命はこっち」
麻里亜さんが指をさした先にあったのは、
「ベビードール…?」
「よくできました!」
ウソでしょ。
そんなもの着たことも買ったこともないのに。
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