仲直りは真夜中に

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「ただいまー」 部屋の中は真っ暗で、まだ上総が家に帰ってきていない事を示していた。 返ってくるはずのない声に何故か酷く心が痛んだ。 「早く帰ってきてよ…上総」 溢れた独り言は涙声だった。 靴を脱いで廊下を静かに歩き、買ってきた下着を部屋に置いてきてしまおうと思って、自分の部屋に入る。 ふと、部屋の隅に置いてある全身鏡が視界に入った。 …せっかくだし。 まだ、上総も帰ってきてないし。 もう一回着てみちゃおうかな、なんて。 そっと紙袋の中から、カラフルなベビードールを取り出して広げてみる。 自分の部屋なら誰も見ないからと、豪快に服を脱いでキャミソールに腕を通した。 「やっぱり勢いで買っちゃダメだったかなぁ」 カワイイんだけど。 なんでか、あの雑誌に載っていた女の子と自分を比べちゃって自分の見た目に自信が持てない。 せっかく麻里亜さんにもカワイイって褒めてもらえたのになぁ…。 ガチャ 「…うそ」 玄関のドアが開く音が聞こえた。
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