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「僕が女だったら良かったんだよね、本当に。手術して胸、つけちゃおうかな。そうしたら見られたって平気だし、」
松浦はふっと鼻で笑いながら投げやりに言う。
どこまでが本気でどこからが冗談か分からない。
「でも気持ち悪いか、僕に胸が付いてたってね」
顔を歪めて松浦が嗤う。
松浦は女になりたいのだろうか?
身体を見られたくないと言った、男の身体だからと。
でも……今までの松浦を見ているとそれだけじゃないと感じる。
「松浦さん女体に憧れてんの?」
「いや、別にそういう訳じゃ」
「付けてもいいと思うよ」
そう言うと松浦は表情を失くした。
「でも松浦さん胸つけたら今度はしたのそれ、付いてっから見られたくないとか言ってそれ取ったら子供作れないからとか言うんじゃないの?自分の弱点、って思ってる所にばっかり気を取られて一生言ってそう」
「そ、……そんな事」
「無いって言えるか?」
「それは……」
黙ってしまった松浦に一歩近づく。
「嫌なことして悪かったとは思うけど、俺は……見て欲しかったよ。まだその、俺に似てるって男の事好きなのかと思ったし、俺の事代用品だと思ってんじゃねーのかなって」
「そんな事っ、ないっ、」
「ああ、そうみたいだな。好きなんだろ?長く続けばいいなって思ってんだろ?」
かあっと松浦が顔を赤くした。
「松浦さんもうちょっとシャキッとしろよ。男に生まれたんだから仕方ないだろ?ぐだぐだうじうじしてんじゃねえよ。それに嫌なら嫌ってその時言えよ、こっちは分かんねえだろうが」
「……い、言った事もあった、と思うけど、」
宮倉の勢いに押された松浦は目を丸くしたまま一歩下がった。
「ちぃっさい声で言ったって、睦言かと思うだろうが。腹から声出せよ、イラつく」
「……は、腹からって、」
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