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「何であんた見て嫌になると思うんだよ?意味分かんねぇ。今こんなに愛されてんのに身体変えたいとか、矛盾してねえか?」
松浦ははっと息を止めた目を大きく見開いた後「え」と小さく呟いた。
そして目をぱちぱちさせたかと思うと左右に目を揺らした。
遠くに足音がしてそれがだんだんと近付いてくる。
その音がここの扉の前で止まりガチャガチャとノブを回す音が続いた。
びくりと身体を震わせ松浦は二歩宮倉から離れた。
もうタイムアップだ。
「鍵閉まってる、ここ使ってるみたい」「じゃあ隣にしようか」
扉越しに女子社員の声が聞こえ足音が遠退いていく。
松浦がほっと肩を下ろした。
「なあ、今日帰ってくるよな?」
宮倉が松浦の顔を覗き込むと、松浦は眉根に皺をよせゆっくりと視線を合わせた。
「帰るよな?」
なかなか返事をしない松浦の肩を掴んで揺すると困ったように目を床に反らす。
焦れた宮倉が「おいっ」と距離を詰める。
松浦は小さく頷き視線を上げて宮倉をじっと見た。
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