第1章

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プリンターの前で作製した資料を出てきたものからチェックする。 明日担当している顧客に対しての販売アプローチを資料にして社内発表しなければならない。 発表の日にちは前々から分かっていたからほとんど作成していて、本来なら昨日全て終わらせるはずだった。 しかし昨日は……普段の業務も放って帰ってしまった。 やる気にならない時にだらだらと残業するなんて時間の無駄だ。 あの時はそう思ったけど、今は昨日の自分に時間があったんだからやっとけよ、と思う。 松浦は定時にさっさと帰ってしまった。 じーっと小さな音を立ててまた一枚出てきた。 腕時計を見ると九時を回っている。 ふっと息をつく。 あと一枚。 プリンターがここまで遅く感じたことは無い。 ちゃんと家にいるんだろうか? 白井……まさかあいつの所に行ってないよな? 頭を掻きむしって舌打ちした。 急いで、もういっそのことタクシーで帰ろうか。 ふと見るともう最後の一枚はとっくに用紙受けに出ていた。
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