第1章

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朝食が出来たので松浦の部屋に向かった。 今からうちの繭を剥す作業がある。 扉を開くといつも通りベッドの端が膨らんでいる。 ゆっくり頭から捲っていくといつも通り布団に埋もれた横顔が見えた。 もう起きろ、そう言おうとした矢先、閉じられた瞼が持ち上がり長いまつ毛の下の瞳が宮倉を見て笑った。 「起きてたのか」 「うん。おはよう」 「おはよう」 髪を触ると目を細めまた宮倉をじっと見る。 その目がやけに色っぽく犯してやろうかと思ったけれどあいにく今日は平日だ。 「飯出来てるから向こういくぞ」 「うん」 松浦は布団から抜け出すと扉に手をかけた宮倉の背中に抱き着いた。 「犯すぞ」 「……いいけど」 ぼそっと言った松浦がくすっと笑う。 「ったく、ほら先に顔洗えよ」 離れないのでそのまま洗面台に連れて行くと松浦は 「なんだか幸せだな」 とやっと離れて宮倉に笑いかけた。 「俺もそう思う」 寝癖が付いた頭を撫でまわして唇を合わせると松浦はまたずずっと鼻をすすり 困ったように微笑んだ。 END
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