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繭の外で……(閲覧ありがとうSS)
水泡が、キラキラとライトを反射して星のようだ。
大きい、という言葉では足りないような巨大水槽の前でもう……数十分、松浦は立ち尽くしている。
集中して眺めているせいか、話し掛けても生返事。
後方の壁沿いに置かれた椅子に座り、一心に水槽を見上げる松浦を眺める。
初めて訪れたと言っていたから珍しいんだろう。
しばらく眺めていると松浦が首を左右に振って横に移動した。
どうやら自分を探しているらしい。くくっと笑って宮倉は立ち上がった。
背後からぽんと肩を叩くと振り返った松浦がほっと息を付いて照れ笑いする。
「ごめん、あんまり綺麗で見惚れてた」
「いいよ」
歩きながら地下のレストランで昼食を取る事になり、色々な形の水槽を見ながら向かう。
水族館に自分も久し振りに訪れたが、昔と違って下から上に、柱のように伸びる水槽があったりとなかなか面白い。
順路通り進むと、次のステージにはいったようで、今までより更に全体の照明を落とし水槽をライトアップしてある。
幻想的な眺めに松浦は感嘆のため息を溢しているが宮倉は端でキスしても分かんないんじゃないかな?と考えていた。
嫌がられるだろうから行動には出なかったが。
地下に着き、ランチの間にも松浦は同じものを見たのは分かっているだろうにいちいちここがこう良かったと身振り手振りを交えて解説してくれた。
まんぼうの身体に傷があったらしく、その傷がどうして付いたかの考察を述べる松浦が微笑ましくて頷きながら聞いていたがふとガラスの向こうに物販コーナーに目を止めた。
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