第1章

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自分が悪いというの百も承知だ。 承知だが松浦だけが被害者かと言うとそうではないと思う。 考えていると腹が立ってきてスマホを投げつけたくなった。 ここに瀬戸がいて本当に良かったと思う。 「瀬戸、君塚さんに制服着てもらった?」 気分を変えたくて違う話を振った。 「いやぁ!何言ってんですか!まだ……心の距離をを詰めて、信頼関係を築いた上でじゃないと、俺嫌われちゃうでしょ!」 「やってねえの?」 「いや、……それは、まあ、ねえ」 気色の悪い笑顔で顔を赤くした瀬戸から目を離した。 「距離詰めまくってるじゃねえか」 「いや、俺はまあ手順を踏んでって最初は思ってたんですけどね、茜ちゃんも結構積極的で」 いやーんとかなんとか言いながらくねくねしている瀬戸を見ながら君塚を思い出す。 大人しそうな顔をしている子で目立つタイプじゃない。 あの子が積極的とは人は見かけによらないものだ。 「まじか。そりゃ羨ましいな」 思わず口に出てしまったと思う。 「お、俺の茜ちゃんに手出しは駄目ですよっ!宮倉さんに勝てる気しないっ!」 「出すか!」 「じゃあなん、……あ、もしや彼女さんと……レス……」 「違うって!ちょっと、その、消極的ってだけだ」 変な話を振ってしまった。 疲れたから食べようと思い一口食べたところで前から「優しくしてます?」と聞かれた。 思わず顔を上げると眉を引き上げた瀬戸が訳知り顔でこちらを見ていた。 「宮倉さん、山下さんみたいにいい男って女の子の心理とか考える必要無かったと思いますけど、俺みたいなのは結構そこらへん勉強してるんですよ!女の人は優しくしなくちゃ駄目なんですよ!あ、優しいだけでもダメだけど。冷たくした後倍は優しくしないといけないんですよ!」 どこでどう勉強したんだよと突っ込みたかったが耳が痛い。 優しく……してるつもりはあったんだ、本当に。
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