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「宮倉君、こっちおいで。唯ちゃんは当分遊ぶから放っておいて」
リビングから紗奈が呼ぶ。
「行こうぜ。本当に長いから」
「はい」
宮倉は唯ちゃんをちらりと見る。
唯ちゃんは宮倉から取り上げたカメラで愛実を撮り始めていた。
宮倉は俺の後ろからリビングへ入り半分だけ襖を閉めた。そして紗奈に促されるままソファに座った。
「お久しぶりです」
「どうもー、唯ちゃんの大事な姉です。お噂はかねがね!」
「お噂……」
意味ありげに笑う紗奈に宮倉は眉根を寄せ和室に目を向けた。
ちょっと引っかかったことを聞いてみる。
「君たち、会ったことあるの?」
「ちらっとお姿を拝見しただけです」
「あ、ああ、そう」
宮倉が表情一つ変えずに言う。
そうそう、これが俺の知っている、山下とか瀬戸が知っている宮倉だ。
「すごいでしょ?うちに来るといっつもああなの」
アイスコーヒーを運んできた紗奈が唯ちゃんに目を向けると宮倉もまたそっちを向いた。
カランと氷がグラスに当たり音を立てる。
「愛実ちゃんの話、家でも良くしてますよ」
「もうメロメロだもん」
「子供、好きなんですね」
「いや、そんな子供が好きなんて話、聞いたことなかったけどなー」
話が弾んでるところ申し訳ないんだが口を挟ませてもらう。
「今、家でもって言ったよな?」
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