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見えない壁に衝突してすっかりおとなしくなった蜘蛛に私はとどめを刺そうと両腕を天高くかかげる。
「貴様は随分とタフだからな。こいつで倒してやろう」
掲げた両腕の上で、空気が渦を作り出し、その渦がさらに渦を作り、最終的には球の中に渦が無作為にうずめき出す。この球をおとなしい蜘蛛へと振り下ろした。
「グギャアアアアアアアアアアア!!」
蜘蛛が球の中にとらわれると、渦が霧を削っていく。蜘蛛は断末魔を上げながら着々と削られていった。
球から漏れてくる風が収まるころには霧一つも残らなかった。さっきの例もあるから油断はできないが、十中八九これでおしまいだろう。周りを注視するが、再び黒い霧が現れることは無かった。
「つ、つええ・・・」
終わったのを確認して男子が出てくる。怪我はしてるが死者が出なくてよかった。少女の傷が不安だが、今からなら悪化することもないだろう。
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