第2章

3/32
前へ
/53ページ
次へ
男子はしばらく黙っていた。考えているのだろう。質問が決まったのか、じゃあ、と口を開けた。 「あなたたちのことを聞かせてもらえないか?目的とか、仲間とか、その能力者ってのも聞かせてもらえるとありがたい」 「いい質問ね。私たちのことを話せば大体のことはわかるから。そうね。まずは能力者についてでも話そうかしら。そこの人間型の説明にもなるしね」 頼む、と男子が促す。私にとって真新しいことは無さそうなので退屈だが、私の口から説明する手間が省けたと思えば我慢なんてたやすい。 「私たちは能力者を集めて、君も戦ったあの黒い霧、私たちは"ミスト"って呼んでる、を殲滅してるの。ミストはここだけじゃなくて世界中に現れているから、各地に支部があるのよね」 「そうだったのか。世界中に現れてるってのに、一回も会ったことが無かったぞ」 「基本、活動時間は太陽が出ていない夜、しかも灯りが無いところに現れるから。目撃者がいたとしてもそれは少ないし、その場で殺されてしまうの。今回は君が能力者ってこともあったけど、死人が出ないなんてレアケースなのよ」 運が良かったか。しかし、この男子についたのが私でなければこの男子はもう少し自在に能力が使えたであろう。ある意味幸い中の不幸かもな。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加