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男子は防戦一方で反撃する隙もない。戦闘については少々かじった程度ではこれが限界か。このままでは死ぬだろう。それがわかっていても今の私にはどうしようもない。できることはと言えば指示を送るくらいか。
「右からくるぞ。次は左だ」
「くっ・・・そ!」
さっきから口を開けば悪態ばかり。死の間際で無理もないかもしれないが、悪態をついてどうにかなるわけではない。もう少し冷静に突破口を考えられないものなのか。
そうこうしてる内に増える傷は深いものが多くなり、男子の動きが鈍くなる。もう終わりか。また・・・、私は何もできなかった。
「危ない!」
私が男子の終わりを覚悟した時、男子と黒い霧の間に割って入ってくるものが現れた。黒い髪をなびかせて現れたその少女は知らない人だが、男子の命が延びたという面では助かった。少女は側に少々大きいキツネのような獣を携えて、本人の手には二挺の拳銃が握られている。
「君は数少ない人間型を扱える能力者の一人なんだから、こんなところで死んじゃダメ!逃げて!」
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