楽しい?お正月

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「ねぇ華餅って何?お花が入っているの?」 「華餅は華やかに彩られた甘い餅だ」 「そっか…綺麗だね。お花の色じゃなかったのか」 河岡はクスクスと微笑ましいという様に笑っていた 銀は華餅を一口千切って口にした 「!美味しい…」 四人は、のんびりと話したり、食べたりした しばらくして、次々に新年の挨拶が来る 「三人はそこで寛いでいてください」 次々と客が入れ替わりに入って来る 「あ、父上…」 「和泉!お前、新年の挨拶に来る客を放って!」 「清光、ここに逃げてたのか!」 「父上だって逃げて、ここに来てるじゃないですか!」 「そうだ、そうだ!」 銀はニコニコとして、何も言わない (あ、銀が人見知りして、笑顔の仮面を張り付けてますねぇ) 父VS息子の喧嘩が始まる 銀はさりげなく離れた 庭に出ていった 「あ、年神…」 「なんと!国守りの神が行方不明と聞いていたが居るじゃないか!」 「シーっ内緒なの。裏武家の者に聞こえちゃう」 「ほう…わかりました」 それ以上は何も言わない 他の神にも今は話さない 銀は依り代を人間の身体に変えて、人の中に交じっているのだから 「それでは…」 年神が去っていった (国守りの神か…村も守れないで、迷惑かけるオレが何を守れるのだろう) 銀はシュンとした 狐耳が出てたら、垂れていただろう まだ喧嘩している親子… 屋敷の方は良いのだろうか? 「オレ達は1番に先生にご挨拶に来ただけで、逃げてません!」 「挨拶なら、もう済んだだろ屋敷に戻れ」 「父上も一緒なら」 「我々は河岡殿に話があるんだ」 「挨拶そっちのけでですか?」 なかなか決着はつかない 河岡も止めないでニコニコ見てるだけ 銀は苦笑いした 挨拶の対応に疲れたのだろう年末から年始まで、ずっとだから 銀はお茶を二人にも出した (そういや先生、お茶は淹れられるんだよなぁ) そして、また庭に出ていく ポツリと一言残して 「女の人、一人で対応しているんだね…」 グッと黙る一同 銀は庭で空を見ていた 河岡はクスクスと笑っていた 「一本取られましたね」 『『帰ります』』 妻、母親、一人に任せるのは酷だと思ったらしい 行ってしまうと河岡は庭に出て、銀の頭を撫でた 「銀もやりますね。あの四人を黙らせるとは」 「ふと思ったから…」 「ふふ…銀の将来が楽しみです」 河岡と銀は空を眺めていた
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