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しばらくして、炊きあがった真っ白なご飯
河岡と銀は味噌汁を作ったのだが…
具材の大きさはバラバラ
沸騰させ、吹きこぼすし
漬物は繋がっている
焼けば炭、煮れば溶けるか固いか
刀の腕は良いのに、包丁は扱いきれない
(…今までどうやって生活してたんだろう?)
銀は小首を傾げた
「先生!母さんが良かったらって。煮物~」
「先生、漬物を」
「先生……」
(あぁ…周りが面倒みてたのか)
そして、生徒全員が驚いたのは…
「ご飯が黒くない!!!!」
「……………」
黙り込んでいる河岡の肩を銀がポンポンと撫でた
食事を終えた二人は片付け始めた
銀が洗い物をする
数日見て覚えたのだ
「銀は覚えも早いし…優秀ですね」
「優秀…?」
(オレ駄目な子じゃない?)
この後、見よう見まねで色々な事を覚えようとコッソリ練習する銀を河岡は見かけた
本日は焼き魚を作る
川遊びの時、皆がしてた様に焼いていく
河岡がやると炭になるので
1人でやりたいと、河岡を部屋に行かせた
河岡は心配でコッソリ覗いていたが気にしない
上手く焼けるだろうか…
魚をジッと見つめ、焼け具合をみる
ジジッと音がするが、まだだ
今、まだ生焼けになる
(御昼ご飯が魚と残り物のご飯だけは寂しいかな?でも…少しずつ覚えていかなくちゃだから)
確かと思い出す
この位だったと記憶している頃合いで火から下ろす
皿に盛り付けて…
「先生…ご飯にしよ?」
「おや、気付いてました?」
二人並んで昼飯にする
「柔らかい…銀が作ると固くならないんですね」
「……この前川遊びの時に…皆で焼いてたの見たから」
「銀はちゃんと見ていたのですね…」
河岡に頭を撫でられ、擽ったそうに首をすくめ微笑んだ銀を見て、河岡も微笑んだ
(少しずつ、笑う様になってきましたね…)
いつもボンヤリ表情の乏しかった銀が、ようやく笑う様になってきたのが嬉しい
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