楽しい?お正月

1/14
93人が本棚に入れています
本棚に追加
/218ページ

楽しい?お正月

「明けましておめでとうございます」 「あ、あけ、明けましておめでとうございます」 「新年のご挨拶ですよ。今年初めて会った人に言ってくださいね」 「は、はい!」 「ふふ、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ」 「はい」 「あ、お年玉を…」 「お金?」 (お餅じゃないの?) 古い事なのだが… 銀は首を傾げた 「ありがとうございます先生。あ、お年賀…」 「え?お年賀…ですか?」 銀が差し出したのは 小遣いや大人達に手伝いのお駄賃に貰ったのを貯めたのだろう 書物だった どうやら、街に出た時に買ったらしい 先生が探して居たからと 「銀…ありがとうございます」 「先生にいつもお世話になっているから…」 河岡は銀を思わず抱き締めた 可愛い愛し子…なんて優しいんだろう 「しかし、よくお年賀なんて知ってましたね」 「来てる子が教えてくれた。お世話になっている人にはお年賀を渡すんだって」 「なるほど!」 「何を渡そうかと思って…先生が探してたの見つけたから…」 「銀、本当に嬉しいですよ。あなたの気持ちが一番…書は大切にします」 銀は嬉しそうに笑った しばらくして、和泉と清光が来た 『先生、明けましておめでとうございます』 「はい、明けましておめでとうございます」 「先生、外の国の菓子でカステラっていうんです」 「オレは華餅を…」 「和泉も清光もありがとう。良かったら中にどうぞ」 『失礼します』 「和泉も清光もお年賀…」 「ん?まぁ、そうだな」 「…銀、誰にそれを聞いた?」 「来てる子達だよ。」 「それ…」 ((絶対、何か言われたろ…例えばお前には準備出来ないだろう、とか…)) 銀はニコニコしてるが、悪意は気付いているはず 「銀、それで何を贈ったんだ?」 「先生が探してた書物だよ。いつ渡そうか考えてたから…」 「先生が探していた書物?」 「よく見つけたな…先生が探していたという事は珍しい書だろうに」 「偶然だよ」 ((探さなきゃ、偶然とはいえ、見つけられないだろうに…)) 河岡はさっそくお菓子を並べお茶を出した
/218ページ

最初のコメントを投稿しよう!