2年前

3/3
34人が本棚に入れています
本棚に追加
/52ページ
――― ――――――― 「いやいやアカネちゃん。  主役なんだからもうちょい飲んでこうよ」 「ボーカルの可愛い子ちゃんに会いたかったのにー!  私だけまだ練習でも会えてないから楽しみにしてたのに、  アラタくんのばかー  女1人ならもう帰るー!」 「アカネ、仕方ないだろ。  アイドルとしてうまくいきそうなんだから、  忙しくてこっちに参加できないのは寧ろ良いことなんだし」 「ナオくんのいうことはわかるし、嬉しいけど…!  これいつもの飲み会と変わらないじゃん。  仕方ないから皆の者、付き合え!」 そうしてくだらないことで盛り上がったり、 バンドのことを話し合いながら飲んでいたら、 気が付いたときには終電が出る時間だった。 「うわぁぁやってしまった。  8万のキーボード衝動買いした上スタジオ代でお財布が寒いってのに。  タクりたくないけど、歩くと渋谷から1時間かかるしなぁ。悩む」 「満喫は?」 「残念ながら閉所恐怖症なので無理。  あそこ暗くて狭くて地獄。  ナオくんどうするの?」 「俺酒飲んでなかったでしょ。  バイクで帰るの」 「なんだと薄情者!  乗せてけ!お願いします」 「メンドクサ。お前んちの方が遠いし。  けど置いてっても後味悪いのもやだし、  仕方ない…これ最初で最後だからな」 「やったー!  ナオくんありがとう!」 他の皆と別れてバイクへ向かう途中。 「お前バイク乗るのになんでスカートなんだよ」 「乗る予定なかったんだもん仕方ないよね?!」 「仕方ねぇなぁ。  レインコートならバイクに入ってるから。  下履いとけ」 「ありがとう」 ナオくんのいい匂いがする。 うわぁぁどうしよう。 「ねぇ帰り道ってナオくんの家の前通る?  1回見てみたいと思ってたんだよね」 「通っても帰れるけど。そっちの道からいくか」 「わぁぁっありがとう!  10階なんだよね。眺めいいんだろうなぁ。  どこら辺まで見えるの?渋谷見える?」 「渋谷は勿論。新宿も見える」 「いいなぁいいなぁ。高いところ住んでみたい」 「じゃあうち寄ってく?」 「えっいいの!行きたい行きたい!  ナオくんち入りたーい!  お酒買って帰ろうっ」 「んじゃまずコンビニ行くか」 ――――――― ―――
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!