京都1日目

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――― ――――――― 「ユキさんいかがお過ごしですか。  こちら絶賛迷子中です」 「アカネが迷うのなんて想定の範囲内でしょう」 「はい。仰るとおりです笑  清水寺に向かうメインストリートから外れると、  高級料理店並んでるんだね。  静かだしすごく素敵なお店がいっぱい」 「素敵だね。  しかし何故メインストリートからはずれたのかな?」 「ショートカットっぽかったので…」 「料理下手な人がアレンジしたがるのと同じ発想か。  迷子も楽しんでおきなよ。  行きたいお店の目星つけておいて」 ユキのお陰で、迷子まで素敵なことになった。 「清水寺のまわりはまた混んでたよ。  平日でこんなに混んでるってことは、  一年中なのかな。  ちゃんと紅葉してないけど、  紅葉シーズンだから?」 「紅葉シーズンだからってのはあるだろうね。  旅行の予定立ててる時には紅葉してるかどうか  わからない訳だし」 「あ、そっか。なるほど。  ユキが好きそうな冷やしきゅうり食べてるなう。  美味しいよー」 「いいな。それはちょっと食べたい」 清水寺は、有名なだけあって色々な人の思いが つまっている場所のように感じた。 それは、今を生きる人だけでなく、 歴史を生きてきた人たちの思いもこの舞台から 景色を眺めているような錯覚を覚えた。 弁慶の下駄を持ってみる。 「重…っ」 いやこんなの履いて歩けない。 しょっても歩けない。 うーん。弁慶さんってすごい人だなぁ。 実際はいてたとしても、 はいていなかったとしても、 履いていたとして下駄が飾られるような人間だったのかな。 なんて考えながら、人混みは苦手なので サクッと一回りして一度葉月の家へ戻ることにした。 『もしもし、葉月。  お夕飯は一緒に食べられる?』 『いいよ。何食べる?』 『葉月の近所で何か食べよう。  今から一回戻るね』 『分かった。待ってる』 帰りはバスを間違わずに乗れたので そんなに時間をかけずに葉月の家へ到着できた。
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