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東京から夜行バスで京都へ降り立ち、
京都の大学へ通う妹の葉月の家へ向かっているところ。
葉月からは、
『京阪ややこしいからなぁ。
家は駅からも近いけど…
ねぇねは絶対どこかで迷うやろから、
バスでおいで。
迎え行くから』
と言われた。
『お!それなら心配ないね!
バス停着いたら連絡するからちゃんと起きてねー
ありがとっ』
そんな電話をしてから深夜バスに乗った。
そして再び京都駅からバスに乗り、
降りたバス停で「着いた!」と連絡したものの…
降りる場所を、
間違えていた………。
「………あっれー?ちょっと違った?
似たバス停多いんだもんなぁ。
けど名前似てたってことはそんなに離れてないのかな?
取り敢えず…歩いてみるかな!」
歩けば暖かくなるだろうし、
運動靴履いて来たから遠距離歩いてもへっちゃらだし!
強気で大荷物を持ちながら歩き出した京都の街。
趣のある街並みを眺めていると、
葉月が惚れ込んで栃木から移り住んだ気持ちもわかる気がした。
(因みに親は何故東京を通り越して京都なんだと大反対していた)
京都に着いたら行きたいなーと思っていた京都御所を、
葉月の家を訪れるよりも先に散策してしまった。
少し予定外だけど気持ちがいいから良しとしよう。
京都御所の木々は
「紅葉していいの?まだ?」
と相談しあいながらも悩んでいるような色合いをしていた。
11月末とは思えない青々とした木に、
紅葉まっさかりの真っ赤な木。
そして紅葉しそこねて青みを残したまま散っている木が連なっていた。
「おっ!シャッターチャンス!
赤いやつだけの写真と、
不揃いに並んでる写真両方撮っとこう!」
楽しいけれど、大きな荷物を持ちながら
砂利道を歩くのは間違いだった気もする。
後どれくらいで着けるかわからない不安とあわさって、
やたらと体力を消耗しにきてる。
「すみません!また改めて遊びに来ます!」
1番赤くて大きな木に敬礼する私は、
まさに外国に遊びに来た、
妙なテンションの日本人そのものだ。
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