第1章 京都1日目

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――― ――――――― その後、土地勘がない上に方向音痴でもある残念な私は 5km歩いても葉月の家には辿り着けなかった。 更に地図アプリを開き続けたせいで、携帯の電池も切れかかっている。 …そろそろ焦った方がいい気がしてきた。 携帯の最後の力を振り絞って葉月に連絡をする。 「やばい!電池きれる!  切れたらどうしたらいいですか!」 「出町柳どっちですかって道尋ねながら歩け。  がんばれ」 Oh… 離れて暮らしても変わらず淡白な妹よ… 歩いている道が悪いのか、中々散歩している人にも会わない。 どどど…どうしよう。 そんなとき、警備員がいる立派な建物を発見した。 警備員に聞くか? …いや、これは同志社だ。 ってことは近づいて来た気がする! よし。このまま直進で。 葉月の家までは、もうそんなに距離がないことはわかっているけれど、 疲れたためにバスに乗ろうか悩みながら歩いていた。 すると、ようやく… 葉月が住んでいるところと町名が一致している住所の建物を発見した。 時刻はなんと9時を過ぎている。笑 ふと近くにあった大きな交差点を見ると、 「…葉月?」 「あ、ねぇねそろそろかなーと思て起きてきた。  着けて良かったね。  じゃ、こっち」 と、家へ案内すべく歩き出す葉月。 ちょっと待ってもう少し感動したい! と思いつつも、疲労からツッコミもせずおとなしくついて行く。 それにしてもよくあそこを通るってわかったなぁと感心してしまう。 「急に来ちゃってごめんね」 葉月の家に来るのは今回が初めてだった。 小さな神社を通り抜けて、 裏口のような門を抜けるとすぐに葉月の住むマンションがあった。 「家に帰るのに神社通るなんて  ロマンがあるね!」 よくわからないことを言いながらすぐにテンションがあがる、 そんなお年頃の姉。 「ども」 それに対し万年大人な4つ歳の離れた妹。 いつも通りすぎて、 久しぶりに顔をあわせた気がしない。
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