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「徒歩なう」
「いや徒歩は無謀すぎるでしょう」
「大丈夫人に道聞きながら歩いてる。
地図はもはや開いてすらいない」
「それなら安心かも。
三十三間堂はどうだった?」
「ナオくんが修学旅行で行った思い出の話し、
思い出して泣きそうになって一周してそそくさと出てきた笑」
「あんな奴のために泣いてくれるな笑
それより、行けなくなったあいつの代わりにも、
アカネが全力で楽しんでやってよ。
まぁご飯はちゃんと食べなさいよ。
京都着いてから何か食べてる?」
「もう午後なのか。食べてなかった。
お腹すいてないから忘れてた」
「最近ひとりでいるとご飯たべてないでしょ。
心配だよ。ちゃんと食べてよね。
たまにはケチらずにちょっと良いものでも食べておいで。
『普段なら選ばないもの』を食べてくるように。
写真もつけること。これ宿題ね笑」
「かしこまりました(´`)ゞ
目の前にあった『普段なら入らない料理屋さん』に入りました。
懐石料理屋さんだったことが発覚。
予想より遥かに高そうで後悔しています笑」
「たまにはいいじゃん。
味覚にも思い出作ってきてね」
「やばい京野菜のお漬物キタコレ。
美味しすぎます…!ありがとうユキ!」
「自分で買って食べてるんだから
自分にお礼言っときなさい笑」
ユキはどこまでも優しい。
同い年なのに大人すぎる。
私は早生まれだからお子様なのだろうか。
いや、そんなこと言ったら
世の中の早生まれの皆様に失礼だ。
―私とユキは東京の同じ家に住んでいる。
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―――――――
友だちが主催する飲み会で私とユキは出会い、
時間がかからずに親友になった。
そして出会いからわずか半年で
一緒に暮らすことになった。
正確には、私が住んでいる家に
ユキを誘ったら越してきてくれた。
通勤が1時間も短くなると喜んで来てくれた。
私は親が昔住んでいた空き家で
一人暮らししていたため、
部屋が余っていたのだ。
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