第1話

京都1日目

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その日を堺に、ほぼ毎晩自転車で20分の距離の

ナオくんの家に遊びに行くようになった。

私から行く日がほとんどだった。

ナオくんから誘ってくれた日もたまにあった。

元々電話で毎日話しをしていたから、

前と生活は殆ど変わらなくて。

変わったのは、

私の寝る場所が自分のベッドではなく、

ナオくんのベッドになった。

それだけだった。

ナオくんの部屋はワンルームで、

もう一つ布団を敷くスペースはなかったし

用意もなかったから、

ナオくんの家で寝ることになると

必然的にナオくんと同じベッドで眠ることになる。

たまに泊まりにきているアラタくんとも

嫌々ベッドを共にしているらしい(笑)

この言い方したら怒られたけど、

事実なのだから仕方ない。

変わったのは本当に場所だけで、

ふたりの関係はまだ変わっていなかった。

ご飯を食べながら、

今までのことを少し思い返していた。

ユキとメールをしていないと、

ナオくんのことばかりが頭をうめつくして仕方がない。

ご飯中はメールできないから、

どうしても考えてしまう。

ご飯を食べ終わると、

今度はヒロからメールを受信していた。

「京都はどう？

　一人で旅行なんてやっぱり心配。

　ついて行きたかったな。

　こちらは今からレコーディング」

メールが苦手だと言っていたのに、

心配して一生懸命書いてくれたんだろうなと思うと

少し嬉しく感じた。

「京都御所と、下鴨神社と、八坂神社と、三十三間堂行ってきて

　今ご飯食べてるところだよ。

　心配してくれてありがとう。

　レコーディング、がんばってね」

メールを返して、地図を開くと

思ったより清水寺が近いことに気がつく。

京都御所から葉月の家まで歩いたのと

そんなに距離は変わらないのかな。

今回の旅行は自分を切り替えるためにきている。

町並みを眺めながら歩くのもいいかもしれない。

清水寺まで歩いてみることにした。