京都1日目

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    京都1日目

――― ――――――― ひとりで来たからか、少し思い出してしまった。 たった3週間前の会話。 幸せでいっぱいで、 京都へ行ったら何かが変わるかもしれないと思っていたあの日。 そんなことを考えていたら、 親友のユキからメールが来た。 「どう?ちゃんと京都着いてるー?  しっかり羽伸ばしてリフレッシュしておいでよ」 ユキはとても気遣い屋だから、 普段だったら私の旅行中にメールをしてくるようなことはしないだろう。 今回私が急に1人で来ることになったから、 寂しさを紛らわせようとしてくれているのが伝わってきた。 寂しさなのか嬉しさなのかわからないけれど、 無性に泣きたくなってきた。 少し視界がにじむ。 「ユキーっありがとう!  まさかの朝から大冒険して今さっきやっと  葉月の家に着きました笑」 ユキはいつもよりも早く、 すべてのメールに1分も経たずに返事を返してくれた。 「メール付き合ってくれてすごく嬉しいけど、  ユキ予定とかあったら放置でいいからね。  本当にいつもありがとね」 「今回メールで一緒に旅行するつもりだから、  いくらでも送ってくれる分には構わないから  リアルタイム実況お待ちしております笑」 ユキ……。 嬉しすぎて涙腺崩壊してしまった。 ユキに糺の森の写真を送ろうと撮った。 それに役に立たない霞んで見えてばかりいるこの目より、 写真で撮っておいたほうがあとでよく見れるだろうし。 「ありがとう;ω;  糺の森なうです。  写真では伝わりきらないかもだけど  空気が澄みすぎていて  浄化されてしまいそうです」 「アカネがこれ以上浄化されたらどうなるの」 「溶けちゃう」 ユキは本当に優しい。 私はそのままゆっくりと糺の森を散策しながら、 下鴨神社へと足を踏み入れた。
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