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「キミさ、わかりにくいって言われない? 俺はどうでもいいけど、きっと苦労するね」
「は? さっきから本当に何なんだよ? いちいち変な言い方して…!」
「別に。早く帰りたいだけさ」
「おい、そっちのあんたはなんで何も言わないんだよ? ってか、本当にあんたら何なんだよ?」
ヒートアップしてきた会話に反応が遅れた平人は、なぜかにやにやしている千穂と、興奮して捲し立てる依頼人とを見比べてため息をついた。そしておそるおそる口を開いた。
「俺達はスポット潰しの二人組なんて言われてるけど、ただの二回生だよ。それで…千穂はその殺気しまって、君はとりあえず落ち着いてくれない?」
「こいつの言う通り、俺達も暇じゃない。で、俺はお前の名前を知っているが、こいつに名乗ってやれよ」
とどめのように千穂は笑みを深め、依頼人である前髪の長い青年の耳元で
「な?」
と息をかけるように囁いた。青年はぴくりと反応したが、なんとか落ちつけて平人に無愛想な態度で名乗った。
そんな二人を、千穂は目を細めて遠巻きに見ていた。
「お前、予定は?」
「これから授業」
さりげない調子の問いに、無愛想な答え。千穂は笑っていなした。
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