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自宅のリビングで何もすることがないからと、
長めの黒髪を無造作に流して少しひょろっとした体型の青年、
木方千穂<きのえちほ>が椅子に座り、ただ天井を見上げてからもう少しで十分が経とうとしていた。
窓の外は朝方から雨が降り続けていたため、
水滴が窓を叩く何ともいえない不気味な音が響いていた。
…そのはずだが、
ベランダにはもうすでにぐしょぐしょに濡れて手遅れになっている洗濯物があり、
玄関前には仕舞われたままの傘が何本も待機していた。
そのことからどうやらこの家の人もしくは千穂が
天気を気にしないのか、
はたまた面倒臭がりなのか…
そのどちらかであるといえた。
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