9人が本棚に入れています
本棚に追加
千穂はそれに気付かないふりをして、もう湯気のたっていない冷たいハンバーグにフォークを刺して口に入れた。
「…良くないよ。俺は、少なくともそう思う」
「はいはい、ご苦労さん。今回もごめんな、…俺はどうでもいいって言ってるけど」
平人の指摘に、眉根を下げて千穂は謝った。
言い訳のような、どうでもいい、って言葉は聞こえないくらい小さかった。
「私物、ねぇ…。平人、お前も友人がどうのこうのって言ってなかったか?」
氷の溶けきった薄いウーロン茶が入ったグラスを傾けながら、千穂は聞いた。平人はポケットからスマホを取り出してスラスラ答えた。
「ああ。智貴くんと同じようにストーカー被害って言いきって良いかわからないけど、似たような被害にあっている人が今、大勢いるみたい。久しぶりに掲示板見たらコメントが溢れかえってる…さすが千穂だね」
俺のせいにするな、と平人を一瞥し、先を促す。
「しかも面白いことに、被害者がもれなくイケメン! なんだか羨ましいくらいだね」
語尾に音符が付きそうな勢いで平人は言うと、調べ途中のスマホの画面をみんなが見えるように持ちかえた。
最初のコメントを投稿しよう!