壱・『失せ物』編

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「コレコレ。見せて良いものかわからないけどね」  そう言って表示させたのは、誰かのTwuttorのホーム画面。女の子らしい自己紹介とアイコンが映し出されていた。 それを見た智貴はおもいっきり顔をしかめ、千穂は非難するように平人をちらりと見た。 「言いたいことがあるなら言ってよ。智貴くんには少し嫌な思いをさせたかなって思っているけど」 「なんで…」 「お前って性格悪いのな」  千穂のバカにしたような物言いに、平人は 「いやいや、千穂ほどじゃないよ」  にっこりと笑いながら答えた。 「じゃなくて、これによればたくさんのイケメンくんから私物を盗んだ少女は、校内のどこかにプライベートルームを勝手に作ってそこに集めているみたいだよ」  なぁなぁ、大学だと漢字表記って校内、構内どっち、とペーパーナプキンを取り出して真剣に問う平人に対し、千穂はどうでもよさそうにウーロン茶を啜った。 智貴も冷めて固くなったピザに手を伸ばし、薄くなったコーラを流し込んだ。 「もう、ねぇ、誰も相手にしてくれないから調べちゃったじゃん。建物全般を指す言葉か学校を指すかの違いじゃん。智貴くんまでひどいよ~?」
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