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おお怖い、演技のように肩を抱いて
「目が同じだよ、戦う人のそれ。あの獣を狩るような目力ね、千穂の本気と似てた」
「受けたことないくせに、よく言うよ」
鼻で笑ったが、平人は大きな手振りで楽しそうに
「あるんだな、これが。しかもほぼ初対面だったから、潰したい人上位にランクイン!」
ドリンクバーからテーブルへ戻りつつ、二人は話し続ける。
「お前の潰すって物騒だな。…怖いこわい」
「…何言ってるの? 一年の頃、お互いに潰し合ったじゃん。それも含めて、二人組の潰し屋でしょ?」
ウインク付きの言葉に、千穂は嫌そうに目線を外した。
席に戻って数十分後。空になったグラスとお皿をそのままに、三人はファミレスを出た。
思ったより高かった、と駄々をこねる智貴を、千穂は無視した。
「俺達は結構な量食べるからさ、さっきのでも足りないくらいだよ~」
冗談めかしく平人が言うと、含み笑いで千穂もおどける。
「なんなら、次行くか?」
「いい…」
「賢明だよ」
多くかかる食事代などは、千穂と平人の暗黙の了解で互いにやりくりしていた。
冬に近付く夜空は寒々しく、色付いた木々が風に揺れていた。
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