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平人と千穂の今日の講義は、昼からだ。
楽しそうに、けれども、それを悟られないように、騒動の最中へ、のっそりとした動きで近付いていく。
時間に追われる学生と、それをもて余す学生たちで人いきれを作っている科学館。
彼らの目の前の机には、ストーカーによって盗まれた物が、彼女の(平人にいびられて涙ながらに謝った時の映像による)謝罪と共に並べられていた。
「なんで、どうして?」
少女は気付かない。
自分が注目を浴びていることも、彼女の背後に忍び寄る人にも。
「…ねえ。どうしてか、知りたい?」
耳もとで、平人は聞いた。
その顔は、笑顔だった。
片付けないと、と微笑を浮かべる平人はやはり、とても楽しそうだ。
騒ぎを聞きつけてやってきた教授も、
「許可をとってやっていることです」
と言う千穂の言葉に、何も言えなくなっていた。
それでも、君たちは~、といちゃもんをつける教授陣には、
「犯罪者に罪の意識を持ってもらうための行動です。それとも、警察呼ぶべきでした?」
と言う平人に、もう反論の言葉はあがらなかった。
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