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☆☆☆
暑い。どうしようもなく、暑い日が続いていた。
暑さというものは袖を捲ってもしのぐことは出来ないし、汗が嫌みな程だらだらと流れてくる。
都心の大通りを行く平人は一口しか入っていなかったペットボトルの午後ティーを飲み干すが、喉の渇きは一向(いっこう)に良くならなかった。
そういえば俺、何をしていたんだっけ…?
なんて、だらだらと考えていたら、いきなり肩を揺さぶられた。
「おい、おい! 平人、おい! 聞いてんのか?」
と、彼を心配するような声も聞こえた。
ぼーっとした意識のまま、何も抵抗しないでいたら
「お前、…死んだ?」
そいつは聞いてきた。
失礼だな、そう思った平人は口を開こうとしたが、出来なかった。
そこでようやく気付く。
これ、やばい状況だわ。
近くにいる彼の友人、千穂に向けて笑みを作った。(なぜかそれは出来たようだ。)
ごめん、千穂。助けて。
「うわー、きもいわ。平人についていく、ってマジできもいわ」
ちょっ、おい! 失礼だな。
顔をしかめようとしても、自由が利かなかった。
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