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「それがどうした?」
のえるの発言に落ち込んでいる平人をそのままに、千穂は続きをうながした。
「先輩…なんだけど、あたしの知り合いのその人が最近、大学構内で大事な物をなくしたらしくて…それで千穂兄のことをその人に話したら、探して欲しいって言われて…」
「ふーん、俺の話? 何それ?」
「えっと…かがっち先輩とスポット潰しをしていることとか…、頭良いくせにテストやレポートをやっと平均値をもらえるぐらいにしていることとか…」
千穂のことを指折り数えながら話すのえるに対して、にっこりと効果音が付きそうな笑顔で彼は笑った。
「黙って聞いていれば、そんな勝手なことを言うんだね。俺は嘘吐きにはなりたくないから、後半だけ否定するよ」
四人がけのテーブル席に落ち着いた彼らは千穂とのえるが対角に座り、平人が千穂の隣に座っていた。千穂は妖しい笑顔のまま続ける。
「俺が大事なものに手を抜いてるだなんてとんでもない。そんなことしている訳がないでしょ、意味がないんだから」
いつもと違う口調で、なお話し続ける千穂を遠巻きに見て
(どっちも事実じゃんか…)
と思う平人とのえるの心の声は同じだった。
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