僕の期間限定な命の灯火

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「夕月くん伊織くん一人一人今度は撮ってくれる」 「はいっ」 椅子から立ち上がる僕をグイッと掴む、伊織。 「後でちゃんと聞くからねっ」 「あ…うん」 僕の言葉を聞かずに、撮影場に行き。 伊織がニッコリと妖しく微笑む、見学者のキャーッという悲鳴が聞こえたが、スタッフの鋭い声で消される。 「…夕月くん、こっちに着替えてくれる」「あっハイっ」 パタパタと更衣室で衣装チェンジする。 急いでヘアーセットされている間に化粧を直される。 「…夕月くん今日なんか、肌のノリがわるい」 「えっ、ダメだよ夕月くん若いからって手入れを疎かにしては、夕月くんの肌は私達の天使なんだからっ」 あはははと苦笑いを浮かべる。 「何ですか、天使って…一応僕人間ですよ」 「…」 キョトンとするスタッフさんに、どーっと笑いが溢れる。 本番中なのを忘れているくらいの声が辺りに響く。 「いやだぁ」 「夕月くんたらっ、天然さんだったけっ」 女のスタッフがハッとして、急いで準備に掛かる。 首を傾けると、そこには先程まで撮影していたカメラマンが立っている。 「…楽しそうだね」 「えっと…そうな事ないですよ、ねっ」 「ええっ、夕月くんの肌のチェックをしていただけです」 慌てて言い出すスタッフに一人のスタッフが墓穴を掘る。 バカっと睨まれるスタッフに。 「夕月くんの…」
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