さようでございますか 佐也加の恋6

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電車を降り駅の改札を抜け空を見上げた。 どんよりとした曇が一面に広がる。 私の生まれた街に似合う空だ。 「ふぅ」 溜息をついてバス停に向かった。 コツコツとヒールの音がする。 髪だって風になびいている。 服装と化粧だって完璧だ。 でも、あのババアが住んでる居酒屋の二階に帰る為。 そんな理由で、この町に戻った訳じゃない。 なんだか気になるフラワーショップのあの人に、綺麗になった自分を見て欲しい。 バスに乗り込んで窓に流れる風景を見ているとドキドキしてきた。 なんだろ、この気持ち。
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