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プシューと音がしてバスが止まった。
バスを降りると、行きに乗ったバス停が反対車線にある。
通り過ぎる車を避け佐也加は向こう側にある歩道に渡った。
しばらく歩くと花屋の看板が見えてきた。
また彼が私に声をかけてくれるかもしれない
そう思うと胸のドキドキが酷くなってきた。
おばあちゃん家に行くときに話した私と違う自分。
おしゃれして少しは女らしくなったと思う。
フラワーショップのショウウィンドーの前まで来た。
彼は居るかなと、ちらっと中を覗く。
彼はいた。
私と目が合った。
私はピョコンと頭を下げた。
彼は「えっ?」って顔をしてる。
佐也加は思い切ってフラワーショップの店内に入った。
ドキドキが最高潮に達した。
彼は「いらっしゃいませ」と言った。
「先日はありがとうございました」
彼は数秒固まって言った。
「あっ!」
大きな花の茎を切っていたハサミを私に向け口を開けて驚いている。
「向かいの居酒屋の娘さん」
「そうです」
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