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少し話してみたら緊張がほぐれて胸のドキドキが収まってきた。
彼の屈託のない表情としゃべり方で安心したみたい。
彼の顔を冷静に見てみると、はっきりとした眉に涙袋のある目。
鼻筋は真っ直ぐ通っていてひげ剃り後もなく綺麗な肌。
ただ彼の手は、花を触って水にも触れるからか
ザラザラと荒れていた。
「指が長いんですね」
「そう?長いかな?」
彼は手に持ったコーラをテーブルに置くと手のひらを顔の前で広げた。
「あ、生命線も長いですね」
「そう?長いかな?」
「でも、知能線は短い」
「あー。バカがばれた」
彼は広げた手を頭にあて短めの髪をパンパンと叩いた。
佐也加は子供っぽい仕草をする彼に好感をもてた。
「で、どうだった釣りの方は?」
「でかいの釣りましたよ」
「へぇー女の子が凄いね」
「凄いでしょ。漁師のおじさんに手伝って貰ったけど」
「なんだプロに手伝って貰ったのか」
「て言うか、あまりに大きな魚がかかっちゃって、竿ごと海に引きづり込まれて助けて貰った」
「えっ!海に落ちたの?」
「うんん。私が油断してたら竿が引っ張られて竿が海に落ちただけ」
「なんだ、君が落ちたんじゃないんだ」
「私が落ちたらよかった?」
「あはは。そんなこと言ってない」
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