7人が本棚に入れています
本棚に追加
「こんど、釣りに行ったら落ちますから」
「落ちなくていいよ」
彼は笑って私から目線を外すと店の入り口をみた。
私もつられて店の入り口を見ると女の人が立ってる。
「あ、越前さん?」
彼が女性に声をかけると女の人は「はい」と返事をした。
どうやらお客さんのようだ。
「長いしちゃって、ありがとうございました」
私が席を立ってお礼を言った。
「ごめんね。追い返すみたいで、また来てね」
「はい。失礼します」
その女性とすれ違うとき香水の匂いがした。
なんだか甘い香り。
私と対照的なスマートで背の高い大人の女性。
佐也加の背中越しに彼の声がした。
「どうぞ。こちらに座ってください」
最初のコメントを投稿しよう!