さようでございますか 佐也加の恋6

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「こんど、釣りに行ったら落ちますから」 「落ちなくていいよ」 彼は笑って私から目線を外すと店の入り口をみた。 私もつられて店の入り口を見ると女の人が立ってる。 「あ、越前さん?」 彼が女性に声をかけると女の人は「はい」と返事をした。 どうやらお客さんのようだ。 「長いしちゃって、ありがとうございました」 私が席を立ってお礼を言った。 「ごめんね。追い返すみたいで、また来てね」 「はい。失礼します」 その女性とすれ違うとき香水の匂いがした。 なんだか甘い香り。 私と対照的なスマートで背の高い大人の女性。 佐也加の背中越しに彼の声がした。 「どうぞ。こちらに座ってください」
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