さようでございますか 佐也加の恋6

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五分ほどカウンターに座っているとババアが階段を降りてきた。 「あんた何処行ってたの?」 ババアが髪を直しながら言うもんだから言い返してやった。 「ブラウスのボタンずれてるわよ」 「あら、ほんと」 慌ててボタンをかけ直し襟を直しているババア。 「私、二階に上がってもいい?」 「ちょっと待ってお客さんいるから」 「ふーん」 しばらく待っていると黒田が階段を降りてきた。 「おおっ、佐也加ちゃんお帰り。お母さん心配してたよ」 「よく言うわ。あんたも私が居ない方がいいでしょ」 佐也加は黒田とすれ違うように二階に上がった。 ババアの部屋を覗くと布団が二つに折られ隅に寄せてあった。 ババアは三つに布団を折る癖がある。 後から降りてきた黒田が布団を二つに折って隅に寄せてから店に降りてきたんだ。
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