開門と別れ

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「…………で、ここに来た経緯は分かったけどよ。なんでここなんだ?」  どうしてここに来た、と聞いて来た黒炎龍に今までの流れを説明し終えた俺に対して再び黒炎龍が問い掛けてくる。 「他に行く所がない」  俺は答えながら黒炎龍の鱗にもたれかかる。一カ月俺とチスイが修行に使ったせいで、黒炎龍の住処だった岩場はその谷間一つ一つが随分と広くなってしまった。 「んでだよ。死族の娘んとこ戻ればいいだろ?」 「チスイはもう女王だ」  リリィを送ってもらう所までは頼んだ。それは俺にはどうしようもない事だったからだ。が、これ以上チスイに迷惑はかけられない。チスイには一日も早くこの世界の王として君臨してもらわないとせっかく武闘大会を勝ち上がったのにも意味がなくなってしまう。 「おめえはどうすんだ?」 「さあな」  ラグナに渡ってからの最初にしての最大の「ガイアに帰る」という目的は果たせなくなってしまった。そうなると俺には目的がない。まずはそこから考えないといけないだろうな。 「ったくよぉ。まぁてきとーにやってくれりゃいいけどよ」  黒炎龍は呆れながらもそれ以上は何も言わなかった。
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