ほくそ笑む

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《今から23年前、太陽の異常によって全人類に能力が備わった。 そんな前代未聞の"災害"を抑えることなど出来ず、世界の政府は名前だけの統治者となり、力ある者がその地を統べる者へと成り代わっていった。 それは日本でも例外ではなかったがお国柄というものだろうか、他の国と比べて比較的平和だった。 政府はいつにない機転を効かせ、能力者の暴動を防ぐ施設を市区町に設置した。 殺すのは禁止、それ以外ならなんでも良しの政府公認の闘技場。 政府はバトルドームと名付けたが、世間一般では闘技場と呼ばれている。 と、ここまでは周知の事実であろう。おっさん世代は周知の事実でも、近年10代の若者までもバトルドームへと進出しており、詳しく知らない人も多いのだ。 さて、次はバトルドームの仕組み等を説明しよう。 ギャンブルとして機能しており、競馬などと似たような仕組みである。 戦闘者(バトルドームでは選手と呼ばれる)は無料で、決められた時間に行けばいつでも戦闘することができる。 もし勝つことができたら、自分にかけられた金額の3割を報酬としてもらうことができる。 観覧したい者は入場料500円にドリンク代400円。 戦闘形式によって金額は変わるが、100~無制限の金額を賭けることができる。 賭けた選手が勝てば、掛け金×1.5~3.0がもらえる。 賭けた選手が負けたら、掛け金は全て没収となる。 大体のルールはこんなところであろう。 そして、戦闘形式は大抵3つがある。 一番オーソドックスでどのバトルドームにも共通しているのが、"決闘"である。……》 最近の雑誌は闘技場専門雑誌でも似たようなことしか書かれていない。 どれもこれも初心者入門編みたいなのばかりだ。 手に取った雑誌をマガジンラックへ戻す。 コンビニで立ち読み、僕がこんな乞食みたいなのするとは思っていなかった。実に予想外だ。 次の雑誌に手を取る。本当はその横にある料理本が読みたいけれど、そんなことを読んでいる暇はない。 闘技場徹底解説!闘技場選びのコツ、と書かれたオヤジ臭い表紙の雑誌を抜き取った。 パラパラとめくると、央都内の闘技場の解説が細かく記されたページを見つけた。
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