第1章

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 時すでに遅く、頭から落ちた。しかも雨で水位が上がり、流れも早い。合羽を着てたせいで思うように身動きが取れない。何とか壁に指を掛けたが酔いが残ってて力が出ない。  このままじゃ死んじまう! メグ先生と同じように… 「あ゛ッ! チクショ……」  抵抗虚しく指が離れ、そのまま川に呑みこまれてしまった… ××× 『メグ先生ッ!』 『サッチンッ…、アタシもぅ…』 『メグ先生ッ! センセーッ……』  ……夢か…、ん? 「死体だ! 死体があるよ!」 「マジかよ! ってか、死体じゃなくてドラえもんって言うんだぜ!」  ……ガキ? ってか、誰がドラえもんだ…。それを言うならドザエモン… 「先生呼びに行くぞリョージ…」  俺、生きてんだな。目を開けるとソコは森の中のようだった。下半身だけ川に浸かってるのか冷たい。身体を動かそうとしたが筋肉痛で動けない。腹は減ってるし、喉も渇いてるから声も出ない。諦めて眠ろうと思い、再び目をつぶった… 「ホントだって! ドラえもんがいたんだよ!」 「青色だったんだ!」 「ホントに~? だったら先生、タケコプター出して貰おうかな…、キャーッ!!」  今度は何だ? 女の声が聞こえるが… 「ドラえもんじゃなくて人間じゃないの!! 青色って合羽でしょ!! あの、大丈夫ですかッ?」 「だってサトシ君がドラえもんだって…」 「先生、ソイツ死んでるよ」  勝手に殺すなガキ。動けないだけだ… 「死んでないわ! 心臓は動いてる! こっ…、こんな時は人工呼吸よね…」 「あぁ゛ー、メグ先生キスしてるぅー!」  ……メグ先生? 朦朧とした意識のままユックリと目を開けた。綺麗な女性が目をつぶって俺に唇を近づけてきて……ってか、メグ先生ッ!? 「えぇ゛ぇ゛ッ!!」 「キャーッ!」 「ど、ドラえもーん!」  急に声を上げたせいで女性は尻餅をついていた。俺は急いで川から出ると女性の顔スレスレまで近づいて確認した。 「……あの、ちょっと…」  長い髪が顔に当たるのが嫌で頭の上でお団子にして纏めていた髪型や、目の下の小さなホクロを隠す為に掛けていた伊達眼鏡も、ピアスを開けようとしたけど勇気が無くて半分しか開けられなかった耳の傷も全て8年前のメグ先生と一致する! でも、メグ先生はあの日… 「あっ、あの…、手が…」
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