21人が本棚に入れています
本棚に追加
“歪な光の環”。
第1章のタイトルとなったこれは、俺の車に乗る綾女が見た風景。
車の中で、冷たくなり始めた彼女の手を取った俺。
その時彼女は、暗がりの中で1つだけ光を放っていた外灯に目を向けこう言ったのだ。
―――「歪な光の環がこっちを見てる。」
雨が降り頻り、洪水のように雨水が流れ落ちていたフロントガラス。
そこに映った街灯の光を、綾女はこう例えた。
まるで、これから不貞を犯そうとしている俺の気持ちに気付いているかのように……。
最初のコメントを投稿しよう!