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ちゅんちゅんちゅん。
スズメの目覚ましで、重い瞼をゆっくりと開く。
見上げた天井は白く高く、横たわるベッドのマットは、適度に柔らかくて寝心地がいい。
枕もシーツも、清潔な柔軟剤の匂いがした。極上の寝具は、ふわふわして、ぬくぬくして。一流ホテルのスイートルームに泊まったような豪華さだ。もちろん、泊まったことはないけれど、そこは想像で。
「菜緒(なお)さん、おはようございます」
耳元で囁かれる。夜と闇が良く似合う、ざらついた低音だ。
ぼんやりとした意識の中、頬を撫でられた。美しいネイルの施された細く長い指……ではなく、ごっつい大きな手だった。
「……ん」
俺の手より大きくて、間接が節くれだっている。人差し指で唇をなぞられて、俺は即座に脳を覚醒させた。
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