第一章

4/19
前へ
/133ページ
次へ
 ケツの穴は痛くはない。無事なようだ。無事なようだが……他は無事ではないのかもしれない。 「寝ぼけてんですか? それとも夕べの記憶がないとか?」  あたふたと全身をチェックしながら、記憶を手繰る。  その通りだ。途中から記憶がない。夕べは若い女の子が大勢いるキャバクラ店で飲んでいた。  久しぶりの酒に弾けてしまった俺は、女の子たちと大騒ぎをして、目が回って、眠くなって……そこからはぷっつりだ。 「夕べは楽しい酒だったようですね」 「あの、俺なんかやった? 途中から記憶が飛んでんだけど……」 「菜緒さんが店で寝てしまったと立蔵(たつくら)から連絡が入ったので、俺が迎えに行ったんです」 「マジか……」
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!

496人が本棚に入れています
本棚に追加