第一章

5/19
前へ
/133ページ
次へ
 そう。俺は夕べ、真木の舎弟である立蔵と一緒に飲みに行ったのだ。仕事帰りに拉致られてそのまま繁華街へと進み、キラキラと輝く大人のファンタジーランドで、英雄としてもてなされた。  指定暴力団仁納会の二次団体である伊崎組と半グレ集団森羅が合成麻薬【ドライヴ】を巡って揉めたのは先月のことだ。  真理亜を助けに行き負傷した俺は、二週間入院をしてやっと通常の日常が戻ってきた所だった。 「お前が運んでくれたのか。その……悪かったな。迷惑かけて」 「ここまで連れてくるの大変だったんですよ。背負ったら暴れて」 「面目ない……」  俺は自慢じゃないが酒には弱い。  基本的には楽しい酒だが、学生の時はヤクザと喧嘩したり、公園で寝てしまい財布を盗まれたりと色々やらかしたことがある。恐ろしい記憶だが、また新たな伝説を作ってしまったのだろうか。
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!

496人が本棚に入れています
本棚に追加