プロローグ

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「どうしよう……免許も銀行のカードも財布の中だ……」  青年が、顔をくしゃりと歪ませる。泣く――かと思った。 「でも、落としたのなら、交番に届いてるかもしれないわ。警察には行った?」 「いえ。まだ」 「プロなら、足がつかないように現金だけ抜いて財布は捨てるから。免許やカード類はけっこう見つかる確立高いの」 「そうなんですか?」 「どのみち、口座からお金を下ろされる前に、銀行に口座を凍結するように連絡した方がいいわよ」 「そ、そうですね」 「暗証番号が自分の誕生日じゃなけれは、まず未遂で終わると思うけど」 「……それが、俺の誕生日で……」
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