プロローグ

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 なんとなく放っておけなかった。間抜けすぎて。子供過ぎて。  私は、項垂れて世界の終わりを見たような顔をしている青年を交番まで連れて行った。銀行に電話をかけて調べてもらうと、口座から現金が引き出された後だった。 「……最悪だ。マジかよ」  財布は見つからない。口座から金は引き下ろされる。  青年は一人暮らしだった。仕送りと出たばかりのバイト代をそっくり盗まれてたと被害届を提出する。  担当した派出所の警官は、流れ作業のように素っ気無い。  私は帰るに帰れなくなっていた。 「あのすみません、ありがとうございました」 「……大丈夫? 家まで帰れるの?」 「あーっ……」
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